一番のこだわりは土づくり
 藤村さんがミニトマトを作るうえで、一番こだわっているのは土作り。JAから買った堆肥に油粕や米ぬかなどを混ぜて1年置いておく。これをハウスの中で使っている。「この土を入れて育てよるから連作にも負けんのじゃろう。」と藤村さんは言う。トマトの類は連作を嫌い、だんだん出来なくなると言われているのに、このハウスではもうかれこれ15年は連作しているという。
 「ものづくりは愛情を持ってやると楽しい」というお二人のハウスでは、今シーズンも真っ赤に熟したミニトマトがキラキラと喜びに揺れている。


藤村 是(すなお)さん・トサ子さん


1房に50個くらいの実がつく

ひと工夫で作業効率を上げる
 この土づくり同様にこだわっていることがもうひとつある。それは、種から育てるということ。発芽して苗にするまでにこまめに温度調整・管理をしていく必要があるので、かなりの技術力を要するため、大概の人が苗から栽培するなか、あえて難しい種からの栽培に挑戦している。
 「苗が太くてしっかりしていると、少々のことではコケたりしないし、やっぱりいいものができる!」と自信をみなぎらせる。その自慢の苗をハウスに定植するときにも一工夫。なんと言っても花が咲いてから定植するのがミソである。ミニトマトの性質上、花は同じ向きにつく。最初に花が咲いている方向を畝の外側に向けて植えると、ずっとその向きに花が咲き実がなっていくのだ。実際、みんな外向きに実が垂れ下がっている。これでぐっと収穫しやすくなる。不思議だが面白い。

 今年は、5月21日が初出荷。5月の日照不足が原因で去年より少し遅い出荷となった。トマトの原産であるアンデス高原は、日光が強くて涼しいところを好む。だからミニトマトは日照不足だと生育が悪くなる。しかし、涼しいところが好きだというのは意外だ。「トマト=夏」というイメージがあるからだろうか。「実は日本みたいなジメジメした暑いところ苦手なんよ。とくにハウスで育てると高温になるから木がえらがるけぇ。」…ということで、7月いっぱいで収穫で終わるように花が咲くのを調整している。(トマトは下から「段」で数え、7段まで花がつくとそこで先が伸びないように切ってしまう。)


収穫作業


ミニトマトが葉の陰にならないようにいらない葉は取り除く


パック詰め作業

 ミニトマトは日の出とともに収穫が始まる。どんな野菜でもいえることかもしれないが、光合成をした栄養が実に詰まっている朝が一番栄養たっぷりなんだとか。また「やっぱり新鮮なものを届けたいから」という藤村さんの消費者に対する気持ちもこもっている。
 そのミニトマトを収穫していく。トマトにはアクがあるため手が真っ黒になるらしい。「あれこれ汚したらイヤじゃけぇ、ミニトマト用の作業着があるんよ」実は帽子もエプロンも専用らしい。それを装着したら、プチプチっと宝石のように真っ赤に輝くミニトマトを取っていく。収穫時のミニトマトは触ったカンジでわかるらしい。「自分からそのときを知らせてくれるんよ。これ、ポロっととれるじゃろ?」と言うのは奥さん。あれ?ここでひとつ疑問が生まれたので質問してみた。「普通トマトって、少し青いぐらいで収穫しますよね?」と言うと、「ミニトマトは枝にあるときにしか熟さんのよ。じゃけー収穫するのは完熟したもの。食べて、すごくあまくておいしいから。」…手渡されたミニトマトをいただく。うん、あまい。トマト独特のにおいと水分がじゅわっと口の中に広がる。
 「ミニトマトを作るのは、楽しいよ。わけてあげるととっても喜ばれるし、ウチに買いに来て人もおってんよ。趣味と実益を兼ねちょるカンジかねぇ」
 収穫すると同時にいらない葉や芽をとる作業もする。日中は暑くてとてもハウスで作業はできないのだとか。

 こちらでは部会全体で「農薬に頼らない栽培」に取り組んでいる。まずひとつは、防虫ネットなどを張り、虫の侵入を防ぐ方法である。もうひとつは間隔が狭いとカビが生えたり、病気になりやすいということで、間隔をあけて植えることである。
 「よりいいものを作る」ことにこだわる藤村さんは、部会の取り組みのみならず、さらに質の向上に向けていろんなことに挑戦中だ。


宝石みたいにきれい!


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