大島で生まれた新しい柑橘
 南津海は山口県大島で誕生した新しい柑橘。交配者は山本さんご本人である。山本さんは温州みかんをメインにレモンやネーブルなど色々な柑橘を栽培している。それと同時に育種もしている。畑には新種の苗があちこちにある。
 山本さんが育種活動を始めたきっかけは昭和47年のみかんの価格の大暴落にある。みかんの代わりになる品種をさがしていたが、「探して苗を試すよりは自分で育種してみよう」と思ったそうだ。


大島郡橘町 安下庄
山本弘三(やまもとこうぞう)さん


南津海の花と実


花が散った後、緑の部分が実になる

自分で新しい品種をつくる
 柑橘類というのは、芽が出て花が咲くまでに早くて5年〜6年。遅くなると10年はかかる。「交配するのは簡単じゃけど、イメージどおりのものかどうかの結果がすぐ出んのよねぇ。」
 確かに。では、どうやって交配するのか。どうやって南津海は生まれたんだろう。組み合わせだけでもたくさんあるだろうに…。「交配ってインスピレーションなんですか?」とたずねてみた。「やっぱりあてずっぽうじゃあダメよ。おいしいものからおいしいものが生まれる確立が高いのは確かだからね。」そこで選ばれたのがカラマンダリンと吉浦ポンカン。「カラマンダリンは糖度が高くて甘いけど、それと同時にすごくすっぱい。でも、この糖度が活かせると思って掛け合わせてみたんよ。やっぱり、こういう『感』は必要。」そうして南津海の種は芽を出し実をつけたというわけだ。ところが、この実は危うく捨てられるところだった。

失敗作だと思ったものが・・・
 というのも、山本さん自身「みかんは秋〜冬がおいしい食べ物」というイメージだったため、試食したのが冬の時期。「甘いのは甘いけど、すごく酸っぱくて食べれんかったんよ。」せっかく育てたけど失敗作。これは捨てるしかないと思ったが愛着があったので1本だけは残しておいた。・・・・すると放っておいた実をカラスの集団が1日で全部食べてしまった。4月も中ごろの出来事だった。「???む、もしかしてこの頃だったらおいしいのか?」・・・しかし試そうにもカラスに全部食べられてしまったため、翌年に期待する。カラスに取られないように防鳥ネットを張り待つこと1年。
 4月〜6月まで味の変化を確かめたところ、5月の連休明けがいちばんおいしいことが判明した。そこで「(初夏)に食べれるかん」=「なつみ」と山本さん本人が命名。漢字もアレコレ思案した結果「南津海」となった。大島の南に位置する安下庄の海が望める風景が思い起こされるようなイメージどおりの名前がついた。
 「あのとき、カラスが教えてくれんかったら、伐採されてたかもね。」なんともすごいエピソードつきの南津海である。


収穫作業


選別作業


カラスに食べられないために


かわいい南津海のキャラクター

甘くて食べやすい南津海
 南津海は5月頃から花が咲きほぼ1年をかけて実が熟す。そのため収穫時期と花が咲く時期が重なる。丁度、オレンジ色の実と真っ白な花が一緒に見れた。「冬も越してるし、みかんみたいにツルツルの顔にはならんのよ。見た目は決して美人じゃないけどね、味は確かよ。」と言ってもいでもらった。さわった感じでは硬そうな皮もけっこうむきやすい。中袋もみかんのように実と一緒に食べられるほどやわらかい。そしてすごく甘い。
 「糖度はだいたい13度以上あるからね。甘いじゃろ。」とニコニコ顔。「暑いときに冷蔵庫で冷やして食べるともっとおいしいよ。風呂上りなんて最高じゃね。」とおいしい情報も。他県でも栽培したいと問い合わせのある南津海。「山口県で生まれた1本の木が、全国的に知られていくというのは嬉しいね。もっともっと知ってもらいたいね。」


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